2023.04.07
長期優良住宅とは?2022年10月の改正について解説!
現在、新築を検討中の方は「長期優良住宅」という言葉を何度も耳にしたことがあるかと思います。質の高い住宅の指標となる長期優良住宅は、これからの時代の新しいスタンダードともいえるでしょう。今回はその長期優良住宅について、2022年10月の改正内容も含めてお伝えしていきます。
目次
- 長期優良住宅とは?
- 改正の3つのポイント
- 長期優良住宅のメリット、デメリット
- まとめ
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、住宅の品質を向上させ住民の安全・快適な生活をサポートするために国が定めた認定制度で、その基準を満たした住宅のことを指します。長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅ということですね。主な長期優良住宅の認定基準は以下の通りです。
・劣化対策
・耐震性能
・省エネルギー性
・維持管理・更新の容易性
・居住環境
・災害配慮
改正の3つのポイント
2022年10月の改正ポイントは大きく3つあります。
改正ポイント①耐震性能
耐震性能は、耐震等級1・2・3の3区分で表されています。等級が高いほど強い建物であることを示しています。
改正前では耐震等級2が求められる基準として設定されていましたが、改正後は耐震等級3であることが求められます。
(改正前)耐震等級2 → (改正後)耐震等級3
改正ポイント②断熱性能
断熱性能を示す基準としてUA値がありますが、これは数字が低いほど断熱性能が高いことを表しています。UA値は全国の地域ごとにクリアするべき基準が定められています(富山・石川の5地域ではUA値0.87)。
改正後はZEHの基準にもなっているUA値0.6以下であることが求められます。これは、2020年4月に設定された断熱等級5に値する基準です。
(改正前)UA値0.87以下 → (改正後)UA値0.6以下(断熱等級5)
改正ポイント③一次エネルギー消費量
冷暖房や給湯器など住宅設備を1年間に使うエネルギーを表した指標です。値が小さいほどエネルギーを使わない省エネなお家となります。これまでの長期優良住宅の認定基準には必要ありませんでしたが、今回の改正で基準が設けられました。こちらもZEHの基準と同じ、一次エネルギー消費量等級6を満たすことが条件となっています。一次エネルギー消費量を削減するには、高効率な給湯器を採用する、LDKのエアコンを高効率タイプにする、LED照明の採用などが挙げられます。
(改正前)基準なし → (改正後)一次エネルギー消費量等級6
まとめると、以前よりも地震に強く、省エネ性に優れた住宅であることが求められるようになったということです。近年ではZEHの推奨や様々な基準の改定などが行われています。国をあげて質の高い住宅を増やしていこうという姿勢が見えますね。
長期優良住宅のメリット、デメリット
最後に、長期優良住宅のメリットやデメリットにも触れていきます。
メリット
・住宅ローン控除の最大控除額が増える
住宅ローンを利用してお家を取得された場合、年末にローン残高の0.7%が13年間、所得税と住民税から控除されるという制度があります。住宅ローン控除における一般住宅の借入限度額は3000万円、13年間の合計最大控除額が273万円のところ、長期優良住宅の認定を受けた住宅の場合、借入限度額が5000万円になり、13年間の合計最大控除額が455万円と大幅に増えます。ただ、あくまで最大控除額になるので所得税と住民税の納めている額で控除される額は変わります。
一般住宅:最大控除額273万円 → 長期優良住宅:最大控除額455万円
・固定資産税の減税期間延長
住宅を取得した際、固定資産税の優遇措置があり、本則の税率の1/2に減税されます。この減税期間が長期優良住宅と一般住宅で以下のように異なります。(一戸建ての場合)
一般住宅の減税期間:3年間 → 長期優良住宅の減税期間:5年間
・不動産取得税の減税
不動産購入時の不動産取得税の控除額が一般住宅の1200万円に対し、1300万円と多くなります。例えば、建物の評価額が1500万円の場合は以下の通りです。
一般住宅:(1500万円-1200万円)×3%=9万円 → 長期優良住宅:(1500万円-1300万円)×3%=6万円
・住宅ローンの金利優遇
フラット35を利用する場合、長期優良住宅だとフラット35S(金利Aタイプ)という通常のフラット35の金利から10年間0.25%の金利優遇を受けることができます。
デメリット
・着工に時間がかかる
長期優良住宅の建築を着工する場合、一般住宅よりも1週間~1ヶ月ほど長く時間がかかります。状況によってはそれ以上の時間がかかる場合もあります。なぜなら長期優良住宅では、所管行政庁(建築確認申請を行う公共団体)に申請を行い、認定をもらってから着工する必要があるからです。
・建築費が上がる場合がある
長期優良住宅の認定を受けるには、前述で紹介した通りいくつかの基準をクリアしなければいけません。そのため、建築コストがアップする可能性があります。また、申請や審査にも費用がかかります。かかる費用は所管行政庁によって違いますが、約5~6万円あたりを見込んでおくといいでしょう。加えて、住宅メーカーや工務店に申請書類を作成してもらうため、この手数料を含めると約20~30万円かかる場合もあります。それらの費用の取り扱いは住宅メーカーによって様々ですので確認してみてください。
・定期点検が必要
長期優良住宅は入居した後も定期点検が必要になってきます。認定基準には維持保全も含まれているため、建築前に提出が必要な「維持保全計画」に従って点検を行い、必要に応じて修繕をしなければいけません。維持保全を怠った場合、認定を取り消されることもあります。ただ、定期点検をすることで良質な住宅に住み続けられるという点でいえば、メリットともいえるかもしれません。
まとめ
以上、長期優良住宅について解説させていただきました。長期優良住宅には注意点もありますが、それを差し引いても有り余るメリットがあります。お家は一生に一度のお買い物です。長期にわたり所有するものなので、長期優良住宅の認定を受けた資産価値の高いお家づくりも検討されてみてはいかがでしょうか?
WRITER
梅津 直也
高岡展示場 営業
今年で入社6年目になります。 今まで教えてもらう立場だったのが教える立場になるので 勉強をたくさんして頼れる営業になりたいと思っています。
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