2023.08.01
新築住宅の保証って?内容や種類、長期保証の注意点も解説
みなさんは、モノを買ったり何らかのサービスを買ったりする場合、「保証内容」を気にされる方も多いのではないでしょうか?それが人生の中で、一番高い買い物である新築住宅となるとより気になりますよね。
ただ、実際には住宅の保証についてあまり理解しないまま、保証期間の長い・短いだけで判断してしまう方が多いのが現実です。そこで今回は、新築住宅の保証についてわかりやすく解説していきます。
目次
住宅の保証の種類
新築住宅の保証は大きく分けて2つに分類されます。
柱や屋根などの「構造」に対する保証と、壁紙やキッチンなどの「内装・設備」に対する保証です。
「構造」に対する保証は、「法律に基づいた保証」と「住宅会社が独自で定める保証」の2種類があります。
一方、「内装・設備」に対する保証は、国で定められた保証がなく「住宅会社が独自で定める保証」のみです。
法律に基づいた保証
まずは法律で定められている「契約不適合責任」に係る保証についてです。2020年以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。瑕疵(かし)とは、「欠陥」を意味します。
内容を簡単にお伝えすると、「お家を建てた住宅会社は、お家の大切な部分について10年間は保証してくださいね」というものです。これは大手のハウスメーカー・地元ビルダー・小さな工務店関係なく全ての住宅会社に義務付けられています。
お家の大切な部分とは、「柱などの主要構造部分」と「屋根などの雨水の侵入を防止する部分」です。例えば、お家を建ててから10年以内にお家が傾いた・雨漏りが起きた…なんて場合は、住宅会社がその責任を負い補修するということになります。その場合、もちろん費用はかかりません。ただし、ここで注意が必要なのは、これはあくまでもお家に対する施工不良や初期不良についての保証という位置付けですので、地震によってお家が傾いてしまった場合や、雨どいの掃除を怠って雨漏りした場合などには適用されません。
住宅会社が倒産した場合でも保証は受けられるの?
上述した通り、法律によって10年間の保証が義務付けられていますが、それは住宅会社が10年後も存在していることが大前提になります。ですが今のご時世、10年以内に自分の建てた住宅会社が倒産してしまうリスクは十分に考えられます。そうなると、「保証があっても受けられないのでは」と心配する方もおられるかもしれません。実際に2005年に起きた耐震偽装問題では、マンションの建て替えが必要となりましたが、不動産会社が倒産したため保証が受けられず、購入者がローンと建て替え費用をダブルで負担しなければなりませんでした。
そこで、今は住宅瑕疵担保履行法により、全ての住宅に対して保証できるよう住宅会社に「資産確保」が義務付けられています。資産確保は、法務局などに保証金を供託しておく方法や、保険に加入しておく方法が行われています。ですので、万が一自分の建てた住宅会社が倒産しても、このお金を使って、他の住宅会社に修繕を依頼できるようになっています。
新築住宅に対する保険金の上限は2000万円です。ただ、お家が傾いている・雨漏りしたという場合に本当に2000万円で直せるのかは疑問ですね。保証は大事ですが、一番大事なのは建ててからそういった問題が起きないようなお家を最初に作れるかどうかにかかっています。
余談ですが、もしお家を建てている最中に住宅会社が倒産してしまっても、この瑕疵担保責保証は適用できるわけではありません。工事中の支払った着工金や上棟金などは戻らないケースが多いので注意が必要です。
住宅会社が定める保証
住宅会社が独自に定める保証は、内容によって大きく2つに分けられます。
「主要構造部分の保証」と「設備や内装に関する保証」です。
①主要構造部分の保証
主要構造部分の保証とは、上記の瑕疵担保責任に係る保証の内容とほぼ同じ部分についての保証です。各住宅会社により住宅を保証する期間が変わります。法律で定められている必要最低限の10年保証の住宅会社もあれば、60年の長期保証を謳う会社もあります。
ただし、万が一その会社が倒産してしまった場合には当然保証を受けられません。いくら長期保証を謳っていても、その会社に体力がなければ絵に描いた餅になってしまいますので、会社の実績や信頼性も含めて検討していく必要があります。
②設備や内装に関する保証
設備や内装に関する保証については、法律で保証の内容や期間は定められていませんが、各会社によって細かく項目とその保証期間が設けられています。保証書に記載される代表的な項目は下記の通りです。
・住宅設備(キッチン・ユニットバス・トイレなど)
・木工事(フローリング・壁・天井の木造部分)
・クロス・壁塗装工事
・建具(室内ドア・窓など)
・電気工事(照明・コンセントなど)
・配管工事(給水・排水・給湯など)
それぞれの保証期間は一般的に1~2年程度です。大手のハウスメーカーでも小さな工務店で建てても、このあたりの保証期間はほとんど差がありません。ただし、住宅会社によっては住宅設備や壊れやすいエアコンの保証期間を延長するオプションやサービスを提供している場合がありますので確認してみましょう。
長期保証の注意点
・「保証=全てのメンテナンスが無料」というわけではない
今まで触れてきたように長期保証を実施している住宅会社でも、その内容は構造躯体や雨漏りについてです。クロスやフローリングなどの内装やシロアリの薬剤処理になどは、有償のメンテナンス工事が必要になることもあります。また、前述した通り自然災害や免責事項による不具合は保証の対象にはなりません。それらに備える場合には別途保険などで補う必要があります。
・長期保証には有償工事がセットであることが多い
長期保証にはほぼ必ずと言ってもいいほど有償工事やメンテナンス積立金がセットになってきます。例えば10年点検時に外壁の状態を確認し、そこで指示された外壁のコーキングや防水塗膜処理などの有償工事を行ったら保証が10年延びます、それを繰り返して最長〇年ですよ、といった内容です。
イニシャルコストの高い大手ハウスメーカーなどは保証が充実していることも多いですが、実際にメンテナンスに必要となる費用が全くのゼロではないことも念頭に入れておきましょう。
まとめ
今回はお家に関する保証について解説しました。
「〇年間の長期保証」と聞くと安心感がありますよね。ただ、このような話を聞くのって住宅会社を決めるタイミングの方がほとんどかと思います。その時は金額や間取りを考えるのに必死で、〇年も保証してくれるなら安心だと内容は話半分に聞き流してしまうという人も多いのではないでしょうか?長期保証を住宅会社のポイントにされる場合は、細かい内容や仕組みなどもしっかり確認しましょう。
長期保証=高品質住宅ではありません。もちろん長期保証は大事ではありますが、最初に建てる時が一番大事です。住宅会社の品質や施工方法をしっかり確認して長く住むことのできる住宅かどうかを各会社に確認して比較してみてください。
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