2023.10.03
電気代ってどうやって決まるの?電気料金のしくみをわかりやすく解説
昨今、ウクライナ紛争を始めとした世界情勢の変化や、急速な円安により、エネルギー調達コストが急激に上がり、一般家庭の電気代とガス代の値上げが続いています。北陸電力でも2023年6月より電気代の値上げが実行され、大きな話題となりました。その値上げ幅は平均39.70%です。今後も上がり続けるといわれている電気代ですが、そもそもどうやって電気代が決まっているかご存知でしょうか?今回は、そのしくみと電気代を抑えるお家を建てるために大切なポイントをご紹介します。
目次
電気料金のしくみ
現在電気代の値上がりがご家庭に大きな負担を与えています。そんな電気代ですが、そもそも電気料金のしくみは皆さんご存知でしょうか?「電気代」と一括りにされていますが、その中には様々なものが含まれています。ここではどんなものが含まれて毎月の電気代になっているのかをご紹介していきます。
電気料金は大きく分けて3つの料金から構成されています。
①基本料金
②電力量料金(±燃料費調整額)
③再エネ賦課金
出典:北陸電力HPより
①基本料金
電力会社・プラン・アンペア数によって異なる最低料金のことを基本料金といいます。電力使用量にかかわらず、毎月一定の金額が基本料金として請求されます。そのため、電気を全く使わなかったとしても基本料金だけは発生します。この基本料金では発電設備の費用や人件費、機材費などをまかなっています。
②電力量料金
使用した電力量に応じて金額が変わる従量課金型のことを電力量料金といいます。電気を使えば使うほど電力量料金が上がっていき、請求額も高くなります。
出典:北陸電力HPより
電力量料金=(電力量料金単価×使用電力量)±燃料費調整額(燃料費調整単価×使用電力量)
電気料金の計算式の中にある「燃料費調整額」とは発電にかかるコストを電気料金に反映させたものになります。主な目的としては燃料価格の高騰から電力会社の経営を保護することです。近年耳にすることが多くなったこの燃料費調整額ですが、実は1996年1月から行われていたものになります。当時は四半期ごとに燃料費調整単価料金の反映を行ってきましたが、2008年に原油の急激な高騰が起き、激しい価格変動が起きたことで燃料費調整単価を毎月変更することになりました。
2023年初頭、この燃料費調整額が高騰して電気代の請求額が大きく増えたことは記憶に新しいかと思います。現在政府の補助があり低く抑えられていますが、その補助も2024年1月分でなくなる見通しです。(元々は2023年9月までの予定が12月までに延長されました)
③再生可能エネルギー発電促進賦課金
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電された電気を買い取るために課されている料金のことを「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」といいます。最近太陽光パネルを搭載したお家を見かけることが多くなりましたが、その売電料金は電力会社がすべて負担しているわけではなく、全消費者が再エネ賦課金として売電料金の一部を負担していることになります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金単価の計算方法は以下の通りです。
出典:北陸電力HPより
再エネ賦課金単価は近年上昇傾向が続いていましたが、2023年は世界的な燃料価格の高騰によって上記の「再エネ発電により節減される費用」が大きくなり、結果再エネ賦課金単価が引き下げられました。ですが、電力市場価格が落ち着いてくると再エネ賦課金単価も以前の水準に戻ってくことも予想されます。
電気代の今後の見通し
それでは、今後電気代はどのようになっていくのでしょうか。日本では火力発電が約8割を占めており、その化石燃料をほとんど海外からの輸入に頼っているのが現状です。そのため、電力市場価格は世界情勢や為替レートなどに大きく左右されます。ウクライナ問題による国際的な資源価格の高騰や、歴史的な円安の背景を考慮すると、今後も電気代の値上げは続いていくと考えられます。日本は世界に比べて電気料金が安いといわれていますが、このような情勢が続けば、本当に電気料金が2,3倍になることもあり得るかもしれません。すでに海外では2,3,4倍になっている地域もあります。
直近の電気代は燃料費調整額と再エネ賦課金に注目!
最近電力会社で実施されたような電気量料金の値上げは頻繁にあるとは考えにくいですが、燃料費調整額や再エネ賦課金などはそれぞれ月単位、年単位で変動するため直近の電気代に直結します。
出典:北陸電力HPより
上記の表を見てみると、電気代の高騰が騒がれた2023年1月分の燃料費調整額は9.9円/kWh、再エネ賦課金単価は3.45円/kWhに対し、どちらも低かった2023年9月分は燃料費調整額が−11.42円/kWh、再エネ賦課金単価が1.4円/kWhです。燃料費調整額と再エネ賦課金の合計で比較すると、23.37円/kWhもの差があります。4人家族の一カ月の電気消費量は350kWh~400kWhといわれていますので、電気代にするとなんと8,180円~9,348円/月の差があることに。同じ電気使用量で、電力会社も料金プランも変わらないのにこれだけの差が出てしまうなんて驚きですよね。
新築で電気代を抑える3つのポイント
前述した電気料金のしくみを見てみると、基本料金を除くすべての項目が使用量に応じてかかってくる料金ということがわかります。つまり、電気代を抑えるためには「電気使用量をいかに減らすか」ということが一番のポイントになります。そこで、ここでは新しいお家を建てる上で、電気使用量を減らすための3つのポイントをご紹介します。
〇省エネ住宅
まず一番シンプルで重要になってくるのが、高気密高断熱の省エネ住宅にするということです。断熱性能の高いお家は外気をシャットアウトして冷暖房の効きを良くしてくれるので、当然電気使用量を減らすことができます。
住宅会社によって様々な特徴や工法があって迷ってしまいますが、基準としてご覧いただきたいのは「UA値」。UA値とは外皮平均熱貫流率といって、簡単にいうとそのお家からどれだけ熱が逃げていきやすいかを表した数値になります。詳しく知りたいという方はこちらの記事を参照下さい(説明の義務化がスタート!新築の前に知っておきたい「UA値」)。
国の省エネ基準にもこのUA値が用いられ、ひとつの目安としてZEH基準(UA値0.6以下)を最低ラインとしてお家づくりを考えられることをおススメします。国が定めた「低炭素住宅」や「長期優良住宅」といった高性能な住宅は、税金や住宅ローンの優遇制度もあります。
また、隙間面積を表す「C値」も省エネ住宅の基準として語られることがありますが、こちらは間取りや現場の施工によって左右されます。最高値で比較するよりは、きちんと一邸一邸気密測定を行っている会社なのか?をしっかり確認しましょう。
〇太陽光発電
そして二つ目のポイントが太陽光発電です。太陽光発電によって電気を創り出し、自家消費や売電による収入を得ることができます。お家の断熱性能を上げて電気の消費量を減らし、この太陽光発電で電気を創り出すことで、お家のエネルギー収支をプラスマイナスゼロにする「ZEH(ゼロエネルギーハウス)」にすることが可能なので、とても注目されています。
しかし、以前と比べると売電価格が安くなった、とか今さら太陽光発電ってどうなの?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。確かに、売電価格は2009年時の48円から比べると、2022年度で17円と半分以下になっています。ただし、同時に導入費用も大きく下がっており、10年前と比べると2023年の今の方が元を取りやすくなっているというデータもあります。現在は150万円ほどで約6kwの太陽光発電を導入することができます。もはや一般住宅でも太陽光発電が当たり前の時代になってきていますので、新築をお考えの際はぜひ導入を検討してみてください。
〇蓄電池
最後に、蓄電池の導入です。これだけ電気代が高くなってきている今、売電で得られるメリットよりも自家消費をすることのメリットの方が大きくなってきています。太陽光発電だけでは昼間に発電した電気を貯めておけないので、蓄電池と併用することで、昼間貯めた電気を夜に使うことが可能になり、最大限自家消費に使うことができます。昼に安い売電価格で売って、夜高い電気を買うくらいなら、電気の自給自足をしてしまおうという考え方です。
ただし、蓄電池はまだまだ普及の途上段階で、設置コストは250万円~350万円ほどかかるといわれています。総合的なコストを考えながら導入を検討しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。住宅ローンは払いきってしまえばその後、費用は掛かりませんが、電気代は暮らし続ける限り支払っていくものです。一般家庭では一か月間の平均電気代は約3万円と言われています。50年も暮らし続ければ電気代は建物と同じくらいの費用になります。月々の支払金額ではなく長い目で見ても電気代を抑えることは将来的な資金に大きく繋がるものです。
タカノホームでは長く暮らし続ける住宅を目指しております。そのため、住宅性能や設備、太陽光発電システムなどに対応した住まいづくりをお客様にご提案しております。ご気軽にご相談ください。
WRITER
須郷 隆治
富山第2展示場 営業
今年入社4年目になります。東京から富山に移住してきました。自然豊かでのんびり暮らせて楽しいです。家づくりについてまだまだ覚えることがあり、日々猛勉強中です。家づくりは知れば知るほど奥が深いです。
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