2022.07.05
住宅の断熱材の種類は?特徴・性能・価格を比較!
お家づくりにおいて重視される方が年々多くなってきている断熱性能。その断熱性能を検討していく中で、どんな断熱材を採用するかは、快適なお家を実現するためにとても重要な要素となります。そこで今回は、断熱材の種類についてご紹介していきます。しっかりと特徴を理解した上で、間違いのないお家づくりを進めていきましょう。
目次
- 断熱材にはどんな種類がある?
- 断熱材の特徴やメリット・デメリット
-グラスウール
-ロックウール
-セルロースファイバー
-吹付けウレタンフォーム
-フェノールフォーム
-ポリエチレンフォーム - 性能比較
- まとめ
断熱材にはどんな種類がある?
お家に使われる断熱材は、素材によって大きく2種類に分類できます。
・繊維系断熱材
繊維系断熱材は、繊維の中に空気を閉じ込めて断熱している材料です。ダウンジャケットの中綿のようなイメージですね。主に柱と柱の間に入れる「充填断熱」で使われる断熱材で、その繊維の素材や密度の濃さによって性能が変わってきます。繊維系断熱材はさらに、グラスウールに代表される無機繊維系と、セルロースファイバーに代表される木質繊維系に分けられます。
・発泡プラスチック系断熱材
発泡プラスチック系断熱材は、素材の中に無数の小さな気泡を閉じ込めて断熱性能を発揮している材料です。食材の保温に使う発砲スチロールの箱がイメージしやすいかと思います。ボード上になっているものが多いので、充填断熱だけでなく「外貼り断熱」にも使用できる断熱材です。その素材や気泡の細かさなどにより性能が変わってきます。
断熱材の特徴やメリット・デメリット
よく使われる断熱材の特徴やメリット・デメリットについてご紹介していきます。
グラスウール (無機繊維系断熱材)
グラスウールはガラスの繊維でできた断熱材です。厚さや密度も豊富にあるため、お客様のご予算に合わせてご提案することが可能で、多くの住宅メーカーが採用している断熱材となっています。
近年では製造技術の向上により、繊維をより細くすることが可能となり、従来品よりも高性能な商品も出てきています。グラスウールは昔のイメージで良くないといわれることも多いですが、しっかりと施工していけば、実はコストパフォーマンスの高い断熱材といえます。
メリット
・比較的安価に手に入り、切断、曲げ等自由に加工することができる
・不燃材料でできているため、防火性も高く火災時に有毒な煙やガスも発生させない
・防音性が高く、病院やホテル等の壁にも使用されている
デメリット
・隙間なく施工するのが難しく、職人による質のバラツキができやすい
・湿気に弱い
グラスウールは湿気防止のため袋入りになっていることが多いのですが、施工の際に袋ごと切断して、切断面を処理せずに施工してしまうケースもあります。切断面は湿気密シートでしっかりとカバーしないと、そこから湿気が入り、カビが生え断熱性能の劣化に繋がってしまいますので注意が必要です。
ロックウール (無機繊維系断熱材)
ロックウールは、グラスウールと見た目はよく似ていますが、こちらは鉱物から作られる人造繊維です。もともとは天然の石(ロック)を加工して作られていました。
特徴もグラスウールとほとんど同じですが、比較すると、グラスウールよりも耐火性能に優れ、多少水分を吸いにくいという性質があります。ただし、金額はロックウールの方が高価であるため、一長一短といえます。
セルロースファイバー (木質繊維系断熱材)
セルロースファイバーは主に古新聞またはダンボールを原料に製造され、アメリカでは最も採用率の高い断熱材です。新聞等をリサイクルしているので、地球環境にもいいことから日本でも多く採用されている断熱材の一つです。特徴としては水分の吸放湿性があることです。靴が濡れたときに新聞紙を靴の中に入れた経験のある方もいると思いますが、それと同じで水分を吸収したり逆に放出することで室内の湿度を一定に保つ効果があります。
メリット
・グラスウールと比較すると、断熱性能、耐火性能、防音性能がほぼ2倍の性能
・ホウ酸化合物の効果で防虫・防カビ性能も高く、ゴキブリやアリ対策に有効
・現場で吹き付けて施工するため、隙間なく施工できる
デメリット
・密度を濃く施工できる反面たくさんの量を必要とし、施工が特殊なので人件費も高くなるなど、比較的高額になりやすい
・水分を吸ってしまう性質がある
他の繊維系と同じく、湿気対策が重要になります。湿気の多い地域や、気密がとれていない住宅に施工すると、どんどん水分を吸収し沈下やカビの原因となってしまうので注意が必要です。採用される場合は、どのように対策をしているかが大切なチェックポイントになります。
吹付けウレタンフォーム (発泡プラスチック系断熱材)
ウレタンフォームは、主に現場吹付けの断熱材として使用されます。ウレタン樹脂を主成分として、発泡させたスポンジ状の断熱材です。現場で吹付けを行い、家の形状に合わせて隙間なく断熱材を施工することができるため、断熱性能だけでなく気密性の向上も期待できる断熱材です。
メリット
・気密性がとりやすく、防音性に優れる
・隙間がないことで壁内の結露防止等の効果もあり、カビの発生や建材の腐食、劣化の防止ができる
・現場で吹付けるので、厚みを自由に施工できる
デメリット
・現場施工なので職人によるバラツキがでやすい
・燃えた時に有害な物質が発生する
現場吹付けのウレタンフォームは、吹付けるとその場で発泡し吸着します。その表面は水を吸いにくいですが、膨らんで柱からはみ出した部分をカットし、断面をそのままにしてしまうと湿気を吸いやすくなってしまうので注意が必要です。
フェノールフォーム (発泡プラスチック系断熱材)
フェノールフォームはフェノール樹脂という樹脂に発泡剤や硬化剤を混ぜて、板状に形作った断熱材です。フェノール樹脂はフライパンや鍋の持ち手部分に使われている黒色の樹脂で、非常に高い断熱性能を持っています。住宅で採用されている断熱材の中ではトップクラスに性能が高い断熱材といえます。
メリット
・断熱性能が高い
・比較的施工が簡単で、気密テープをボードとボードの間に貼っていくことで高い気密性も実現できる
・優れた耐火性に加え、湿気に強い性質があり、断熱性能の劣化が起きにくい
デメリット
・値段が高価
・紫外線に弱い
フェノールフォームは非常に優秀な断熱材ではありますが、どうしても高価になるので、全体の予算とのバランスを考えて採用を検討しましょう。紫外線の対策については、施工後は外壁を貼るので紫外線にふれることはありませんが、施工までの管理の仕方が重要になってきます。
ポリエチレンフォーム (発泡プラスチック系断熱材)
ポリエチレンフォームとは、ポリエチレンを主成分として、発泡剤等を混ぜ生成した断熱材です。ポリエチレンフォームには、ビーズ法ポリエチレンフォームEPSと押出法ポリエチレンフォームXPSがあります。ビーズ法ポリエチレンフォームはいわゆる発泡スチロールのことです。住宅では押出法ポリエチレンフォームの方が広く使われています。
どちらも板状の断熱材で、フェノールフォームと近い特徴を持っていますが、大きく違う部分としては燃えやすいという点です。また、金額的にはポリエチレンフォームの方が安価に手に入ります。
性能比較
最後に、それぞれの熱伝導率(熱の通しにくさ:数値が低いほど良い)、湿気に対しての強さ、耐火性、価格を表にまとめました。
最終的にはその断熱材の厚み、施工方法によっても壁の断熱性能は変わってきます。どの断熱材をどのように施工し、問題点についてどのように対策をしているのか、しっかりと確認しましょう。
まとめ
今回は住宅で特に採用率の高い断熱材をご紹介しました。断熱性にこだわったお家をつくるには、断熱材の種類や断熱材の厚み、断熱材の貼り方はもちろん重要です。ただし、それだけでなく、断熱材を湿気や衝撃から守るためには、気密性や耐震性もとても大切になります。しっかりと全てを確認していただき、自分たちにあった価格や性能のメーカーを選んでいってください。
WRITER
非公開: 島田 宗人
富山第1展示場 営業
去年タカノホームでマイホームを建築しました。 話には聞いていましたが、タカノホームの家は本当に快適でした。
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