2022.09.13
24時間換気って切っちゃダメなの?種類や注意点を解説!
近年新型コロナウィルスの感染拡大もあって、室内の「換気」について注目が集まっていますよね。そこで、今回のテーマは「24時間換気」。言葉は聞いたことがあっても、どんなものかよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。お家の空気環境を良くしてくれる「24時間換気」について、どんな種類があるのか、またその注意点などをご紹介していきます。
目次
- 24時間換気システムは新築に絶対必要!
- 24時間換気システムの種類、特徴
- 熱交換システムとは?
- 切っちゃダメなの?24時間換気の気になる点、注意点
- まとめ
24時間換気システムは新築に絶対必要!
24時間換気とは、お家の中の空気と外の空気を自動的に入れ替える仕組みのことです。2003年の建築基準法改正により、すべての建築物で24時間換気の導入が義務化されました。つまり、お家を建てる上で、絶対に入れなければならない設備なんです。換気回数も決まっていて、1時間で0.5回、2時間でお家全体の空気が入れ替わることが基準とされています。
24時間換気が義務化された背景には、近年の住宅における高気密化が深く関わっています。高気密化によって住宅の快適性は高まりましたが、一方で建材から出るホルムアルデヒドなどの化学物質や、ダニや埃などのハウスダストの影響で体調を崩してしまう「シックハウス症候群」が社会問題となりました。そこで、その対策として24時間換気が一般住宅においても義務づけられることになったのです。その導入によって、化学物質やハウスダストの充満を防ぎ、常に新鮮な空気が取り入れられる住環境となりました。
24時間換気の種類、特徴
換気システムには第一種換気、第二種換気、第三種換気の3種類があります。給気、排気をそれぞれ機械的に行うか自然に行うかに違いがあります。一般住宅において使われているのは主に第一種換気と第三種換気です。
第一種換気
第一種換気は給気、排気共に機械で行い強制的に換気を行います。一度機械部分に集められ、ダクトを通って各部屋へ給気される(排気はその逆の手順)ダクト式、各部屋に機械を取り付けるダクトレス式があります。≪メリット≫
・どちらも機械で行うことで空気の出入りを制御しやすく、確実に換気ができる
・換気の際に熱交換が可能なので、取り込んだ外気を室温に近づけ給気することができる(熱交換については後ほどご紹介します)
≪デメリット≫
・第三種に比べ電気代が高くなってしまう
・ダクト式は24時間稼働をしていないと給気ダクト内に結露発生などのリスクがある
第三種換気
第三種換気は排気を強制的に機械で行い、給気は自然に行います。排気は機械を通るためダクト式、給気はそのまま各部屋へ給気されるダクトレス式のものが多いようです。≪メリット≫
・第一種換気に比べ設備が簡単なため費用を抑えて導入することができる
・電気代も第一種換気に比べ安くなりやすい
≪デメリット≫
・部屋ごとに給気口が必要となりフィルターの掃除が大変
・外の空気がそのままの温度で入ってきやすく、給気口の付近は暑く/寒くなりやすい
第二種換気
第二種換気は給気を機械で行い、排気は自然に行います。
特徴としては、機械的に空気を取り込むことによって外部より室内の気圧が高くなるので、ドアを開けた際などに外部から塵やほこりが入り込むのを防ぎ、室内を清潔に保ちます。この特性を活かし、病院の無菌室や工場のクリーンルームなどに使われています。一般住宅で用いられることはありません。
熱交換システムとは?
熱交換システムとは、第一種換気に備えられるシステムで、換気をする際に排気の空気に含まれる熱を給気する空気に移す仕組みのことです。これにより室温と給気の温度差を少なくすることができます。
住宅において、換気による熱損失は30%と言われています。せっかく断熱性を高めて外の気温の影響を受けにくくしても、換気によって暑い/寒い外気が入ってきてしまうともったいないですよね。特に寒冷な地域では暖房費が節約できるので、省エネ効果が期待できます。
仕組みとしては、上のイメージ図のように、給気する空気と排気する空気を交差するように熱交換素子に通します。それぞれの空気は直接触れることはありませんが、隣り合った空間を通過するうちに、熱の交換を行うというものです。
熱交換システムの種類、特徴
熱交換システムは「全熱交換式」、「顕熱交換式」に分けることができます。全熱交換式は温度と湿度の両方を交換するのに対し、顕熱交換式は温度のみを交換するシステムです。ここでは、2つの交換システムの違いをみていきましょう。
全熱交換式
全熱交換式の特徴としては、温度と湿度の両方を交換してくれるため、梅雨のじめじめとした湿気を抑えることができ、冬場の乾燥を和らげることもできます。温度と湿度の両方を一定に保って、快適な空間を作ることができます。湿度のコントロールが特に重要な多湿地域の方におススメです。注意点としては、湿度と共に匂いや菌まで交換してしまうため、トイレなどの匂いの強い場所での使用にはあまり向いていません。
顕熱交換式
顕熱交換式の特徴としては、湿気も匂いも交換せず排出されるため、トイレや浴室の換気にも使用できます。お部屋の匂いを気にされる方にはおススメです。注意点としては、湿度を交換しないため、梅雨どきや夏場のじめじめとした湿気がそのまま室内に入ってきます。逆に、冬には室内の湿気を排出することによって、建物全体が過剰に乾燥してしまう恐れがあります。
切っちゃダメなの?24時間換気の気になる点、注意点
・24時間稼働が原則
24時間換気について、「切っちゃダメなの?」「つけっぱなしは電気代がもったいない」といった声もお聞きします。しかし、空気環境の考え方からすると、一年中24時間稼働をおススメします。24時間換気は住む人間だけでなく、建物にとっても良い効果があります。空気を循環させることで湿気が溜まることを防ぐことができるので、カビや結露の発生を防止し、お家の耐久性の維持にもつながります。
ちなみに電気代は、第三種、第一種それぞれ違いはありますが、近年では省エネ性に優れるものも多く、月に数百円程度といわれています。
・窓を開けての換気ももちろんOK
「24時間換気があるのであまり窓を開けてはいけないのでは」と勘違いをされる方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。あくまでも家の中の空気を新鮮に保つためのシステムですので、外の空気を取り入れたいという方は、気兼ねせずに窓からの換気も行ってください。
・フィルターの掃除は定期的に
第一種、第三種共に外の空気を取り入れる際は、外気の花粉や塵などを取り除くフィルターを通してきれいな空気にしています。そのフィルターも時間と共に汚れてくるので、最初は1ヶ月に1回ほど汚れ具合を確認して、最低でも3ヶ月に1回はきれいに掃除をしましょう。フィルターが汚れていると、入ってくる空気も汚れてしまうだけでなく、換気がうまく行われなくなる恐れがあります。
・機械の設置場所に注意
24時間換気は機械で空気を出し入れするため、その作動音も24時間出続けることになります。機械の設置場所が寝室に近いと、夜の静かな時に作動音が気になることも。特に第一種換気の場合は給気排気どちらも機械なので、より注意が必要です。
まとめ
以上、24時間換気についてご紹介しました。間取りや耐震性などに比べ、あまり目につかない部分かもしれませんが、快適性や省エネ性に深く関わる部分になります。お家づくりの際はぜひご確認いただきたいと思います。もっと詳しく聞きたい、体感したいといった方はお気軽にご相談ください!
WRITER
清水 窓加
富山第1展示場 営業
入社4年目です! 小学校1年生から12年間サッカーを続けていました。 大学は愛知県の方に行っており、就職を機に富山に戻ってきました。 住宅のことに関して日々勉強中です!
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