2022.03.15
住宅ローンのつなぎ融資って何? 資金の流れを知っておこう!
住まいづくりは「一生に一度のお買い物」といわれるほど、大きな資金が必要になります。そのためには住宅ローンが必要になるのですが、一連の手続きの中に「つなぎ融資」というワードが登場します。ローンの手続きや諸費用にも大きく関わってくる部分なので、資金の流れと合わせて見ていきましょう!
目次
- お家づくりと資金の流れについて
-つなぎ融資の基礎知識
-お家づくりにおける支払いのタイミングは? - つなぎ融資の注意点
-つなぎ融資にかかる諸費用・手間について - つなぎ融資以外の方法ってあるの?
- まとめ
住まいづくりと資金の流れについて
皆さんご存じの通り、住まいづくりには大きな資金が必要になります。注文住宅の場合、土地・建物を含む住宅ローンの金額は総額3,000~5,000万円と非常に大きな金額となり、その返済期間も30~40年と非常に長い期間です。そんな住宅ローンですが、実は開始するまでに色々な手間暇がかかっており、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。今回はそんな住宅ローンの開始前の「つなぎ融資」について着目し、住まいづくり独特の資金の流れも同時に学んでいければと思います。
つなぎ融資の基礎知識
「つなぎ融資」とは、住宅の引渡し前に発生する費用の支払いのために利用する融資のことです。
住宅ローンでは、完成した住宅を引き渡す際に融資が実行されるため、それ以前に必要な資金は別に自分で立て替えなくてはいけません。
しかし、つなぎ融資を利用すれば自己資金を用意しなくてもこれらの費用を支払うことが可能です。現状住宅ローンを利用されている方のほとんどがつなぎ融資を利用しているといっても過言ではないでしょう。
お家づくりにおける支払いのタイミングは?
注文住宅の場合、契約をしてから家を建て始めるため、住宅が完成する前に住宅メーカーや工務店に支払いを行わなければいけません。一般的な流れを順番に説明していきます。
・土地の購入資金
住宅を建てる際には土地が必要ですよね。既に自分の土地を持っている方や譲渡を受ける方を除き、建物と合わせて土地を購入するケースが多いです。住宅ローンに土地の購入資金を含む方の場合、こちらの資金からつなぎ融資が必要になります。一般的に資金の流れとしては一番初めのつなぎ融資になるので、土地の購入資金からつなぎ融資を受ける場合は、住宅ローンの審査なども前もって早めの準備をしておく必要があります。
・契約金
建築を依頼する住宅メーカーが決まったら、契約を交わします。その時手付金として支払うのが契約金です。一般的に契約する住宅価格の5%~10%といわれていますが、100万円など定額で定めている住宅メーカーもあります。契約金は工事代金の一部として使われます。契約金にもつなぎ融資は使えますが、他の支払いに比べると低額なため、自己資金でまかなう方が多いようです。
・着工金
次に住宅工事の着工時に支払う必要があるのが着工金です。一般的に、総工事金額の1/3程度を住宅メーカーに支払う必要があります。住宅メーカーも住宅の材料の手配や人件費の支払いなど大きな資金が必要になるため、分割して前倒しで資金をお客様からいただいている形になります。
・中間金(上棟金)
工事が着工し、躯体工事に差し掛かったタイミングで支払う必要があるのが中間金です。一般的に上棟工事完了時に支払うことから上棟金とも呼ばれます。この頃には建物の骨組みが出来上がっており、家の形が見えてくる頃です。
・最終金(引渡金)
そして無事に住宅が完成し、引き渡しを迎える際に支払う必要がある資金が最終金です。引き渡し時に支払うことから引渡金とも呼ばれます。総金額から既に支払った金額を除いた金額を支払う形になります。最終金を振り込むことで家の鍵をもらうことができ、入居の準備を進めていくことができます。最終金は住宅ローンの実行にて支払うため、つなぎ融資を使う必要はありません。
つなぎ融資の注意点
つなぎ融資がないと自己資金で各種代金を立て替えなければいけません。しかし必要な資金を自力で貯めるにはかなりの時間がかかることから、つなぎ融資は住宅ローンにとって無くてはならないものです。しかしながらいくつか注意点もあります。1.つなぎ融資を取り扱っていない金融機関もある
つなぎ融資は基本的に住宅ローン借入先の金融機関から借りることになります。住宅ローンとつなぎ融資を別の金融機関にすることは基本的にできません。(つなぎ融資の利用は住宅ローンの融資承認を得ていることが前提となります)
また、そもそもつなぎ融資自体を取り扱っていない金融機関も存在します。その際は住宅ローンの選択肢から見直す必要があります。
2.住宅の完成が遅れると支払利息が増える
注文住宅の場合、想定外の事態が起きて住宅の完成が遅れると、予定していたよりも支払利息が増える可能性があります。また借入可能な期限が当初から決められていることもありますので注意が必要です。
3.つなぎ融資期間中に住宅ローン控除は適用されない
ローン控除を受けるにはその年の12月31日時点で入居している必要がありますが、つなぎ融資期間中はまだ建物が完成しておらず、住宅ローンそのものも開始していないため適用ができません。
4.金利負担や諸費用支払いのタイミングに注意
つなぎ資金にかかる諸費用も住宅ローンの資金使途に含むことは一般的に可能ですが、金利や手数料の支払いタイミングによってはお客様が一時的に立て替えなければいけない場合があります。自己資金が手元にない方は注意しましょう。
つなぎ融資にかかる諸費用・手間について
つなぎ融資を受ける際には諸費用がかかります。総資金計画にも関わる部分なので金融機関には事前に確認し、まさかの予算オーバーとならないよう注意しましょう。代表的な諸費用についてここではご説明します。
①金利
一般的につなぎ融資の場合は金利が年3%近くかかることもあります。現在住宅ローンそのものは低金利化が進んでいますが、つなぎ融資の金利は依然として高いケースも多いです。また土地の資金からつなぎ融資を利用する場合、つなぎ期間が半年近くかかることもありますので、金利負担は無視することはできません。
【つなぎ融資の計算例】金利年率2.6% 工事期間4カ月とした場合の例
融資額:土地資金1,000万円 借入期間:土地決済~引渡時完済 5カ月(150日間)
融資額:着工金 1,000万円 借入期間:工事着工~引渡時完済 4カ月(120日間)
融資額:上棟金 1,000万円 借入期間:上棟時~引渡時完済 3カ月(90日間)
金利合計256,438円
②手数料
つなぎ融資を受ける際の融資手数料がかかるケースがあります。手数料の計算方法は定額(一律○○円)定率(借入額の○○円)など、金融機関により異なります。
③印紙代
つなぎ融資自体が金銭消費貸借契約になりますから、契約書の印紙代が必要になります。
もし1,000万円超のつなぎ融資が2回発生した場合、2万円×2回なので計4万円の印紙代がかかります。
④保証料・団信保険料
住宅ローンと同様につなぎ融資にも保証料が必要になるケースがあります。また住宅建設中(つなぎ融資期間中)に債務者が死亡するリスクにも備えて団体信用生命保険に加入しなければいけない場合もあります。こちらについても金融機関によって対応が異なりますので、金融機関にご確認下さい。
つなぎ融資は諸費用のみならず手間もかかります。住宅の工事スケジュールに合わせて、つなぎ融資の段取りや打ち合わせを金融機関としっかりと行ってください。面倒くさいとは思いますが、一生に一度のマイホームですから滞りなく進めましょう。
つなぎ融資以外の方法ってあるの?
注意点をいくつかお伝えしましたが、現在金融機関によってはつなぎ融資の方法に独自性を持たせることで利便性やお客様へのメリットを高め、差別化を図っている金融機関もあります。その事例のひとつが「分割融資」です。
分割融資は住宅ローンの総額を複数回に分けて受け取れる融資の事です。実はこれにはかなりのメリットがあります。
まず金利が住宅ローンと同金利で、印紙代も本契約1回分で済むことから諸費用をかなり安く抑えることができます。また住宅ローンの団信もスタートしていることから万が一のことがあった場合も安心です。元来のつなぎ融資のデメリットであった諸費用の高さと手間を軽減した素晴らしい商品性です。(先行して土地に抵当権を設定することが条件となっている金融機関もあります)
皆さんも今後金融機関で住宅ローンを検討する際はつなぎ融資の方法や諸費用についても調べてみて下さい。各金融機関で方法や諸費用が大きく違いますので、事前に確認した上で住宅ローンの利用を決めましょう。場合によっては大きな節約になるかもしれません。賢く住まいづくりを進めましょう!
まとめ
分譲住宅やマンションに比べ、注文住宅は引渡しまで長い時間がかかります。その期間中に発生する費用の支払いに役立つのがつなぎ融資です。しかしつなぎ融資には思わぬ落とし穴や注意点がありますので、しっかり理解した上で利用しましょう。
自己資金を準備し活用することで融資期間を短くしたり諸費用を抑えることができますし、金融機関選びによってはローンにかかる諸費用総額も大きく節約することもできます!
後悔のない住宅選びと賢いローン選びをタカノホームはサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください!
WRITER
松井 孝平
タカノホーム株式会社 業務推進部
金融機関で勤務していた経験があるので、ちょっとした裏話などを皆さんにお届けできればと思っています。お札を数える札勘が得意なのですが、決済は断然キャッシュレス派です。
カテゴリで絞り込む
ARCHIVE
過去の記事
閉じる