2022.04.26
農地転用って何?必要期間や費用、注意点を解説!
「実家の横の畑にお家を建てたい」「耕作をしていない田んぼがあるからそこに新たにお家を建てたい」などと考えていらっしゃる方はいませんか?実際に農業の後継者不足などもあり、田んぼを宅地に変えてお家を建てるという方も増えてきました。そこで今回は、農地でお家を建てる場合の手続きや注意点について解説していきます。
目次
- 農地転用とは
- 農地転用の手続き
-土地の区域区分による手続きの違い
-必要書類 - 農地転用の注意点
-農地転用できる土地とできない土地がある
-かかる費用について - まとめ
農地転用とは
農地でお家を建てるには地目(登記簿に記載された土地の用途)を宅地にしなければなりません。
地目が田や畑になっている土地は、「農地転用」を行った上で地目を変更する必要があります。
農地転用とは、「農地を農地以外のものにすること」です。ここでいう農地とは、「耕作の目的に供させる土地」のことをいいます。原則現況をもとに判断されますが、現在耕作を行っていなくても耕作が可能な土地であれば農地に含まれます。
敷地内の家庭菜園レベルであれば、農地と扱われることは基本的にありません。ただし注意が必要なのは、ひとつの敷地のようでも地番が分かれていて、宅地だと思っていた場所の地目が田であったというケースもあります。特に農家では耕作しなくなった田んぼを畑にしたり、砂利を敷いて駐車場のように使っていたりという場合がありますので、ご実家の敷地内での新築の場合は早めに確認しましょう。
農地転用の手続き
土地の区域区分による手続きの違い
・市街化区域内の場合
市街化区域とは、「すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされてます。簡単にいうと、どんどん建物を建ててよいエリアということですね。
農地が市街化区域内にある場合は、許可は必要ありません。ただし、転用の前に市町村の農業委員会へ「届け出」が必要です。毎月提出の締切日が設定されていますので、急ぐ場合は確認しながら進めていきましょう。提出から1~2週間ほどで受理されることが多いです。
・市街化区域以外の場合
市街化区域以外の地域は、基本的に市街化を推奨していない地域ですので、農地転用の際は都道府県知事の「許可」が必要です。許可申請を行うと現地調査や農業委員会で審議が行われ、特に問題がなければ1、2か月で許可が下りてきます。
必要書類
農地転用する土地や自治体によって若干違いますが、一般的に必要とされる書類は以下の通りです。
・申請書
・公図
・登記全部事項証明書
・位置図
・配置図などの利用計画図
・住宅資金に関する資料
・その他自治体が定める書類
住宅資金に関する資料というのは、お家を建てるにあたって何のお金を使ってお家を建てるのかといったことを証明できる資料になります。
例えば、お家づくりにかかるお金が全部で4000万円必要だったとします。そのうち、3000万円がローンで1000万円が親からの贈与の場合、3000万円のローンを借りたということが分かる契約書(ない場合は事前審査の申込書でも可能なときがあります)、贈与する1000万円が入っているとわかる通帳の写しなどを準備する必要があります。
手続きは必要書類を集めて自分で提出することも可能ですが、全て自分ひとりでやろうとすると手間がかかり大変です。相談できるハウスメーカーの営業などがいればその事情を説明し、利用計画図を準備してもらいましょう。そのあとの書類集めや書類作成は行政書士に任せた方が手間も時間もかからず進めることができます。
農地転用の注意点
農地転用できる土地とできない土地がある
農地は、「第1種農地」「第2種農地」「第3種農地」「農用地区域内農地」「甲種農地」の5つで分けられています。この中で農地転用可能な農地は「第2種農地」「第3種農地」になります。
「第2種農地」と「第3種農地」は近い将来に市街化が見込まれるエリアであることが多いです。
それ以外の「第1種農地」「農用地区域内農地」「甲種農地」は原則農地転用できない土地となっています。これらの農地は今後も農業へ力を入れていきたい農地、農業に関する生産能力の高い農地です。市街化調整区域や、市町村が定める農業振興地域に該当している土地が当てはまりますが、これらの土地は農地転用が原則不可です。
市街化調整区域や農業振興地域でも、農業振興地域除外(農振除外)申請や第43条申請と呼ばれる申請などで、例外的に建築を認められる場合もあります。ですが、どうしてもその土地でないといけない理由が必要で、周りに家が少ないと申請が許可されないということもあります。お考えの土地が該当する場合はまずは各市町村の農業委員会へ問い合わせてみましょう。
また、農振除外は許可までに半年以上(7か月~10か月ほど)の長い時間がかかりますので注意が必要です。
かかる費用
・申請手続き費用
それぞれの手続きを行政書士にお願いする場合、届け出の場合は3万円~5万円程度、許可の場合は6万円~10万円程度が相場のようです。農振除外については作業量にもよりますが、20万円~30万円ほどが目安になってきます。これに加えて、地目変更もお願いするとプラスで5万円前後の費用が必要です。
・造成費用
田んぼから宅地に変更してお家を建てる場合は、土を盛ったり土留めを造るなどの造成工事が必要になります。造成費用に関しては田んぼの深さや広さなどで金額が変わってくるので一概には言えませんが、200~500万円くらいかかると考えておいた方がよいかと思います。後々資金計画が狂わないように、早めに造成してくれる業者さんへ見積りを依頼しましょう。
・上下水道引き込み費用
基本的に農地には上下水道はありませんので、新しく引き込む工事も必要になります。上下水道の本管は道路の下に埋設してあります。本管までの距離にもよりますが、前面の道路の本管から敷地に引き込む際の費用は80~150万円くらいが相場です。
また、敷地の前の道路に上水道の本管か下水道の本管、もしくはどちらも通っていないという場合は、本管を敷地の前までもってくる必要があります。そうなると配管の距離や道路のアスファルトを割る面積も大きくなってしまい、金額が高額になってしまうケースもありますので事前に確認しましょう。
・固定資産税
農地転用が無事終わり、農地から宅地に地目の変更をすると、土地の価値が上がるため固定資産税の評価額が高くなります。固定資産税は毎年1月1日時点の現況で決められますので、建築のタイミングやスケジュールを考えて転用の作業を進めていきましょう。
まとめ
土地代の節約のために実家の敷地で計画しようとか、少しでも安い物件を求めて田んぼや畑の購入を検討しているという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この記事でもお伝えした通り、農地からお家を建てる場合は、申請や色んなことにお金がかかる可能性があります。そもそもお家が建てられないということもあるかもしれません。農地で新築を計画される際は、早めにいろんな調査や相談をしていくことをおススメします。もちろんタカノホームでもそのような相談も受け付けていますよ。
WRITER
梅津 直也
高岡展示場 営業
今年で入社6年目になります。 今まで教えてもらう立場だったのが教える立場になるので 勉強をたくさんして頼れる営業になりたいと思っています。
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