2022.08.16
全館空調ってどうなの?後悔しないために知っておきたい注意点とは
連日厳しい暑さが続く中、空調の効いたお家の中はまさに「オアシス」ですよね。様々な冷暖房機器がありますが、その中でも近年注目されているのが「全館空調」。公共施設では当たり前の全館空調ですが、一般住宅での採用率が上がってきたのはここ数年のことです。快適そうだけど、実際にどうなの?と疑問をもたれている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、全館空調のメリット・デメリットや採用する時の注意点などをわかりやすく解説していきます!
目次
- 「全館空調」とは
-冷暖房方式でわかれる4タイプ - 全館空調のメリット・デメリット
- 全館空調vsエアコン!どちらを採用すべき?
- 採用して後悔!?知っておくべき注意点
- まとめ
「全館空調」とは
「全館空調」とは、お家の中の空気を1~2台の空調機器で管理できる設備のことです。各部屋にエアコンを設置する必要がなくなり、脱衣場や廊下などお家の中全体の温度差を少なくすることができます。また、冷暖方式によっては換気システムと組み合わせたタイプもあり、そのタイプでは外気中の微粒子をフィルターで取り除いて換気するため、室内の空気をキレイに保つことができます。
冷暖方式でわかれる4タイプ
一口に全館空調と言っても、その冷暖方式や各部屋に温度調節した空気を送る方法にはいくつかの種類があります。共通しているのはお家の中に1~2台の空調機器があり、そこで作った空気を各部屋に送って空調を管理することです。
・天井吹き出し型
天井内にエアコンとダクトが設置されており、天井の吹き出し口から温度調節した空気を各部屋に送ります。一般的に全館空調として多く使われており、24時間換気システムと組み合わせることが可能なタイプです。
・床下冷暖房型
基礎断熱してある床下部分に冷暖気をため、床からの輻射熱と吹き出し口(2階にはダクトを通して)から各部屋に温度調節した空気を送ります。一部の商品で24時間空調と組み合わせたタイプがあります。
・壁パネル輻射型
壁に大型パネルを設置し、熱が温度の高いところから低いところへ移動する性質を利用した輻射式冷暖方式になります。冷水と温水をパネル内に通しての空調になるので、全館空調の中でも送風がないタイプです。
・壁掛エアコン型
1台の壁掛けエアコンで作った空気をダクトや各部に設けた通風口を通してお家全体に行きわたらせる方式です。
全館空調のメリット・デメリット
1~2台の空調機器でお家全体の空調を管理でき、便利に思える全館空調ですが、デメリットもあります。ここでは多く使われている「天井吹き出し型」のメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
メリット
・お家全体の温度差がなく快適
全館空調の最大のメリットはどこにいっても快適な温度に保たれているという点です。廊下やトイレなど、今までのお家では暑い/寒い空間になっていた場所でも温度差がないので、ストレスがなく快適に過ごすことができます。
また、換気システムと組み合わせることで換気口のフィルターにより、花粉・埃・塵・カビ・PM2.5などの超微粒子もキャッチしてくれるため、温度だけでなく室内の空気環境も快適にできます。また、ダクト内にカビが発生しにくいため、エアコンのような嫌な臭いが発生しにくくなっています。(フィルターのお手入れは必要です!)
・身体にやさしい住空間になる
健康面でも大きなメリットがあります。代表的な例がヒートショックの防止です。ヒートショックとは、冬場の入浴時などに温度差が10度以上ある場所に移動すると心臓に大きな負担がかかり、重度になると心筋梗塞や脳梗塞なども引き起こす現象のことです。ヒートショックによる死亡事故は全国で年間19,000件ほどと推計されていて、熱中症や交通事故と比べても非常に多い数字となっています。
さらに、室温が18度以下のお家に住み続けると、様々な疾患のリスクが上がるともいわれています。お家の中の温度差をなくすことは、快適なだけでなく健康にもつながるんですね。
・スッキリしたお家づくりができる
壁掛けのエアコンと違い、送風は天井や天井付近の吹き出し口からとなるので、大きなでっぱりがなくなりスッキリ見せることができます。外観でも室外機の数を1~2台で納めることができるので、スタイリッシュな家づくりが可能です。
・立体的な設計がしやすくなる
一般的にリビング階段や大きな吹き抜けのあるLDKをつくると、2階の冷たい空気が1階に下りてくるコールドドラフト現象が起き、冬場はLDKがなかなか暖まらないということがあります。しかし、全館空調でお家全体の室温を一定にコントロールすることでコールドドラフト現象を軽減できるため、1階と2階をつなぐ立体的な設計をしやすくなります。
デメリット
・イニシャルコストとランニングコスト
導入することで快適なお家づくりことができますが、その分イニシャルコストとランニングコストは高くなりやすい傾向にあります。
≪35坪、4LDK、2階建の例≫
イニシャルコスト:約100~300万円(住宅ローン支払いで約月3,000~6,000円のプラス)
ランニングコスト:平均月5,000~6,000円(壁掛けエアコンの平均:全国平均で約月2,000~4,000円)
・定期点検が重要
故障してしまうとお家の中全体の空調が止まってしまうため、定期点検はとっても重要になってきます。費用はメーカーによっても異なりますが、年間1~2万円で、フィルター交換には約1,500~5,000円ほどかかります。
・部屋ごとの温度調整ができない
全館空調の特徴は「夏冬でも快適な温度で、一定の範囲に収まるようにお家全体の空調が管理できる」ということです。ですので、反対に体感温度の微妙な個人差には対応することができません。家族間での個人差やお風呂上りの時などには対策が必要になってきますね。
全館空調vsエアコン!どちらを採用すべき?
全館空調にもメリット・デメリットがあることを紹介しましたが、では住まいづくりをする時に、実際全館空調は採用するべきなのでしょうか?次は、どんなご家庭におススメなのかをお伝えします!
≪「全館空調」がおススメの家庭≫
・ペットを飼っている
・高齢の家族がいる(体感温度の違いには注意が必要です)
・趣味の時間など家族それぞれが別の部屋で過ごす時間が多い
・お家の中も外も生活感を出さずスッキリさせたい
・吹き抜けや開放感のあるLDKなど大空間でのお家づくりがしたい
≪「壁掛けエアコン」がおススメの家庭≫
・家族間で体感温度の差が大きい
・各部屋やタイミングで温度調節を変えたい
・窓を開けて、自然の風をお家の中に取り込みたい
・必要ない日にはエアコンを停めて、電気代を管理したい
採用して後悔!?知っておくべき注意点
全館空調はメリットも多く、採用率も高くなってきていますが、「採用しなきゃよかった…」「聞いてた話と違う!」という声も多くあります。そうならないためにも注意点をご紹介していきます。
・高い断熱性・気密性も合わせて検討しよう
全館空調は24時間365日稼働させることが基本なので、壁掛けエアコンに比べて電気代が高くなりがちです。だからこそ、お家の断熱性や気密性も同時に注目していく必要があります。お家の断熱性や気密性が低いと、夏冬場の電気代が「4万円以上!電気代が高すぎる!」ということにもなりかねないんです。どれだけ電気代をかけてお家の中の空気を温めても、壁から熱が逃げ、外気が室内に入り込んでいては意味がないですよね。どんな冷暖房でも大切な要素ですが、ずっと稼働し続ける全館空調においては特に重要なポイントといえます。
・ダクト内の結露やカビに注意
全館空調のダクト内にはカビが生えにくいとお伝えしました。しかし、ダクト内に結露が発生するとカビ発生のリスクが高まってしまいます。結露を防止するためには、24時間365日の連続稼働が大事です。電気代の節約に…と電源を切ってしまうと、ダクト内に埃や湿気がたまりカビが生えやすくなってしまいます。また、ダクトの通っている屋根裏の断熱にも注目しましょう。しっかり断熱してないと、これも結露が起こる原因になってしまいます。
・動作音が大きい 設置場所に注意
「展示場で動作音も確認したのに、お家に採用したらうるさく感じる」という声もしばしばあるようです。これは、採用したお家の間取りによるところが大きくなります。音の出る本体部分を居住空間の近くに設置してしまうと、リビングでくつろいでいる時にも常に音が気になる…ということになりかねません。設置場所を考える時には、本体部分を廊下の天井上に設置するなど、人が常にいる場所は避けたところに計画するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
注目されている全館空調ですが、メリットだけを見て「なんとなく」で採用すると思わぬ後悔をしてしまうこともあるようです。せっかく費用をかけて住み心地のよいお家を目指すのであれば、ぜひ検討しているお家の性能や自分の家庭に合っているのかというポイントにも注目してみてください。
タカノホームでは天井吹き出し型の全館空調システム「oasis」を採用しています。実際の電気代や採用した方の生の声などもお伝えできますので、詳しく話を聞いてみたいという方は、いつでもご相談に来てください!お待ちしております。
WRITER
島津 七海
高岡展示場 営業
入社4年目になりました!小学校2年生の頃から空手を続けています。大学では古生物学を専攻していたので、住宅のことについては日々勉強中です!
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