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2022.09.27

頑丈な家をつくるために知っておきたい「構造計算」

皆さんは「構造計算」という言葉を耳にしたことがありますか?あまり語られることのない構造計算ですが、近年の度重なる大規模災害を経て、その必要性が注目されてきています。建物の構造計算は非常に奥が深く、建築関係者でも理解しづらい分野です。そこで今回はなるべく分かりやすく、構造計算とは何か、その必要性について解説していこうと思います。構造計算│タカノホーム

目次

  • 日本は災害大国
  • 構造計算とは?
    -構造計算の実施はたった20%ほど!
  • 建築基準法の壁量計算と構造計算の違い
  • 耐震等級3でも強度が違う!
  • まとめ

 

日本は災害大国

地震イメージ│タカノホーム私たちが暮らしている日本は、その位置や地形などの条件から、世界でも地震、台風、豪雨、豪雪など災害が非常に多い国です。日本の国土面積は世界のわずか0.25%ですが、世界で起きているマグニチュード6以上の大地震の20%以上が日本で発生しています。2000年以降でも20回以上大地震が発生しており、いつどこで大地震が起きてもおかしくない状況です。そして近年では、台風や豪雪などの災害の頻度も増えてきたように感じます。災害大国の日本で、私たちが安全に安心して暮らすためには、お家の構造に関して真剣に考えていかなければならない時代になってきています。

 

構造計算とは?

構造計算│タカノホームそもそも構造計算とは、正式名称を「許容応力度計算」といい、「建物にかかる、地震荷重・風荷重・積雪荷重・積載荷重などに対して、建物がどのように変形して、どこまで耐えられるのかを科学的に検証すること」です。主な検討項目は以下の通りです。

・壁量計算
・壁の配置のバランス
・水平構面
・柱頭柱脚の接合方法
・柱や梁、横架材など部材検討
・基礎設計
・地盤調査
・地盤補強工事

建物にかかるあらゆる荷重を考慮し、部材や接合方法など細かい部分まで検証していくので、非常に信頼性の高い高強度の建物にすることができます。

構造計算の実施はたった20%ほど!

実はこの構造計算、実際は日本で建築される2階建て木造住宅のたった20%ほどしか実施されていません。災害大国と言われ続けてきた日本において、意外な数字だと感じる方も多いのではないでしょうか?
過去には、構造計算がされていない住宅で壁量が足りていないなどのトラブルが発生したことをきっかけに、構造計算の義務化を検討されたこともあるようなのですが、結局は義務化されないまま現在にいたっています。国で義務化がされてない以上、「コストが高くなる」「時間や手間がかかる」という理由で住宅会社から敬遠されがちなのが現状です。

2016年に発生した熊本地震では、震度7の大きな揺れが2回発生したことにより、比較的耐震性が確保されているといわれてきた「新耐震基準(2000年以降)」の住宅でさえも倒壊してしまいました。熊本地震の事例では、建物の重量や硬さのバランスが検証されておらず、建物がねじれるように倒壊したといわれています。これは、構造計算をしっかりと行い、建物のバランスを検証していれば防げていたことかもしれません。

 

建築基準法の壁量計算と構造計算の違い

一般住宅の20%ほどにしか実施されていない構造計算ですが、多くのハウスメーカーの営業マンに耐震性に関して尋ねると、口をそろえて、

「うちは、ちゃんと耐震性の計算をしていますよ。」
「建築基準法で定められた計算をしていますよ。」
「耐震等級2、3を取得しているので安心してください!」

などの答えがかえってきます。これを聞くと、「しっかりと構造計算されていて安心だ!」と勘違いをしてしまいそうですが、建築基準法の定める壁量計算と構造計算には大きな違いがあります。これらの違いについて見ていきましょう。

住宅の構造に関して計算する方法には、以下の3つの方法があります。

構造計算イメージ図│タカノホーム

①建築基準法による壁量計算

建築基準法で最低限必要とされている計算で、一般的な会社のほとんどはこの計算方法によって構造の安全性を確認しています。
地震や暴風に耐えるために最低限必要な壁の量を計算する、簡易的な計算方法です。現行の建築基準法では木造2階建て以下及び500㎡以下の建物は構造計算不要(四号特例)で、この壁量計算のみで良いとされています。計算結果はA3用紙1枚程度にまとめられます。
過去の大きな地震ではこの建築基準法による壁量計算をクリアしている住宅でも多数倒壊の被害にあっていますので、壁量計算のみでは不十分であるといえます。

②性能評価(品確法)による壁量計算

耐震等級を確保するために、通常の壁量計算に加えて「床、屋根倍率の確認」と「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を計算する方法です。広告などで「耐震等級3で地震に強い家!」と謳われているのはこの性能評価(品確法)による評価であることが多いです。長期優良住宅に必要な耐震等級もこちらの基準で判断されます。
この計算方法では耐震等級2、3をクリアするための壁量の計算や床倍率の計算は行いますが、建物のバランスに関しては詳細な検証はされていないので、大きな地震に耐えるにはまだ不安が残ります。先ほども挙げた熊本地震の事例では、長期優良住宅(品確法における耐震等級2)のお家が倒壊するという衝撃的な出来事も起きました。

③構造計算(許容応力度計算)による壁量計算

構造計算(許容応力度計算)では地震や台風による水平方向の力に対する検証に加えて、建物の荷重や積雪荷重の検証も行い、全ての柱、梁に対して検証をします。
壁量計算では行わない、建物のバランス(偏心率)に関しての詳細な検証も行います。仮に多くの壁量を確保していたとしても、建物のバランスが悪いと地震発生時には弱い部分に荷重が集中し、崩れてしまう可能性があります。地震における安全性を確保するためには、この検証は非常に重要なものです。
かなり詳細な部分まで検証しますので、構造計算の計算書はA4用紙で数百枚にのぼります。

このように建物の詳細設計を「壁量計算のみ」で行うか「構造計算」した上で行うかで、災害時の建物の安全性が大きく変わってきます。
災害時には国や住宅会社は何も補償してくれません。天災は国や住宅会社に責任はないという考え方なのです。災害の多い日本で安心して暮らすには、構造計算(許容応力度計算)は必須項目といえるのではないでしょうか。

 

耐震等級3でも強度が違う!

前述したように、構造計算とは建物が地震などに対してどこまで耐えられるかを科学的に検証することです。
そして、耐震等級はその建物がどのくらいの規模の地震まで耐えられるかを評価するものです。当然、目指すべきは「耐震等級3レベルの建物を構造計算によって科学的に検証する」ことになります。

構造計算表│タカノホーム
一口に「耐震等級3」といっても性能評価による壁量計算と構造計算では耐震性が違ってきます。性能評価による壁量計算でクリアした耐震等級3は建築基準法の1.91倍の耐震性であるのに対し、構造計算によってクリアした耐震等級3は建築基準法の2.44倍の耐震性になるのです。
構造計算を行って耐震等級3をクリアした建物は最高の耐震性を確保しているといえますね。

まとめ

今回は、構造計算という少し難しい内容について解説しました。
構造計算に関して現状は、義務化されていないし面倒だから構造計算はしないというハウスメーカーがほとんどであり、一般のお客様も「構造計算なんて難しいことは分からない」と敬遠されてきた内容です。しかし、面倒ではありますが、構造計算をしっかりと行っているかどうかで、いざという時、大災害から家族を守ってくれるお家かどうかが変わってきます。
これからお家づくりを考える際は、担当者に「構造計算(許容応力度計算)ってしているんですか?」とひと言、質問するところからはじめてみてはいかがでしょうか?

WRITER

スタッフ名が入ります。

齊藤 佑介

富山第1展示場 営業

早いもので入社して14年ほど経ちました。今では家族も増え3人の子育てに日々奮闘中です。自身の子育て経験を活かして子育て世帯によりそった家づくりを目指しています。

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